とある図書館司書見習いのブログ

図書館情報学や図書館のあれこれについて語る。

図書館で借りた本が元から汚れていた時は...?

これまでに図書館を利用されたことがある方の中には借りた本の中に汚れた本があってとても困惑したという経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?例えば本にならんかのシミがついていたり、水に濡れた跡があったり、あるいはページがはずれてしまっていたりなどです。

 

またこれは僕の知り合いの話にはなりますが、昔図書館に借りた本を返しに行った時、本に汚れがあったため図書館員さんに汚したかどうかの確認をされてとても困惑した経験がある方もいらっしゃいます。(本人は汚した記憶が全くなかったので確認を取られたことにとても驚いたそうです。)

 

そのような経験をされて図書館を利用することに対して不安になってしまった方、不信感を抱いた方、少なからずですがいるのではないか?と。あるいは利用することをやめてしまった方もいますよね...。ほんとに申し訳ない気持ちです。

 

そんな人たちに一図書館員側からの現状をお伝えしたいと思います。

 

 

まず図書館の資料というのは基本的に誰もが利用でき、また借りて帰ることのできるものであるため、本に汚れがついたり、劣化が進む状況から切っても切り離せない関係にあります。

僕も図書館で働くまでは全く気付きませんでしたが、図書館にある資料は本屋さんと異なり綺麗な本ばかりではありません。

 

 

公共の資料になるので、誰もが利用するという状況から鑑みても資料が劣化していくというのは避けられないのだと思います。

 

資料の劣化を防ぐための措置を全くしていないわけでもないのですが(本の表紙にブックカバーを貼り付ける等)、それでもやはりいづれは劣化してゆくものだと思います。

 

そして図書館の本というのは館内で利用できるのはもちろんのこと家に持って帰って読むことも可能です。

家に持って帰るということは家の中で汚れたりするリスクが当然出てくるわけです。

 

一図書館員としては本が汚れない環境で読んでほしいという気持ちもありますが、貸出した後の一人一人の読み方まで強制することはできません。

 

お菓子を食べたながら読んだり、汚れやすいところに本を置いておいたりなど...あらゆるリスクが考えられます。

(ただし図書館の中であっても全くそういうリスクがないわけではありません。)

 

それにあくまで僕の場合ですが、僕自身も本を借りるときはめちゃくちゃ丁寧に扱わなければというより、もっとむしろ気軽な気持ちで借りています。(汚したらやばいよね...という気持ちはありつつも...。)

 

公共の資料とはいえ誰もが利用する上でそういう気軽さは大事な気がします。

 

 

本が汚れてしまったり、水に濡れてしまった時の図書館の対応方法は二つあります。

 

一つは状態を見て、ひどくないと判断されれば厳重注意にとどまる形です。

 

もう一つあまりにひどい場合は本の弁償もあり得ます。

 

そうした厳重注意にとどまった本は多少の汚れはあるもののまだ利用可能と判断され、元から汚れがあることがわかるように本にわかりやすく表記をしたりして対応してることが多いです。

 

 

悲しきかな、利用者の中には自身で汚してしまったにも関わらず申告してくださらない方もいます。

そういった場合、こちら側は気づくことがほとんどで連絡して確認を取らなければなりません。

(これは精神的に辛いものがあります。)

 

また汚れを見過ごすこともあり、そのような場合は見過ごしてしまった人が注意を受けてしまいます。(とても悲しい話です。)

 

自分で汚したり濡らしてしまった時はちゃんと申告してほしいです...。

 

 

基本的に汚れのある本などは上記のような形を経て汚れが元からあることがわかるよう表記されていることがほとんどなのですが、

中にはどういうわけが表記がないにも関わらず本に汚れのあるものが棚に並べられてしまっていることもあります。

 

いいわけになりますが、日々たくさんの本を扱っているので恐らくみな汚れに気づかずに棚に並べられてしまったのだと思います。

ですので本を貸出する時に気づいたり、利用者が返却してくれた時にそのような状態であったことに気づくこともあるのです...。

 

なかには本当にひどい状態のものもあり...貸出時に利用者の方を不安にさせてしまうこともあります。(びっくりしますよね...。)

 

その辺は明らかにこちらの管理不足と言えると思います。

 

ただ、今の現状をお伝えすると、本を貸出する前に気づくというのがなかなか難しい状況にあるので、利用者の方にもそこは理解してほしいという感じです。(抜本的に解決するための人を裂く余裕がないのです。)

 

 

もしも今後、そのような場面に遭遇したらそういえばこのブログに...と思ってくださればと思います。

 

こちらからのお願いにはなりますが、利用者の方にも協力してほしいというのが本音です。自身で汚してしまった時は申告してほしいのはもちろんのこと、元から汚れがあった時、それに気づいた時も教えてくださると助かります。

これは甘えなのかもしれません。しかし利用者の助けがなければ難しいというのが今の公共図書館の現状なのです...。

 

(*全ての図書館がそういった現状にあるわけではないと思いますのでそこはご了承お願いします。)

 

 

人数を増やしてしっかりとした管理ができる状況を作るべきだとも思います。しかし経費削減を名目に人件費は減る一方ですし、図書館員の給与も決して良いものではありません。そうした現状を解決していく必要もあると思いますし、図書館員の人権なくして図書館は成り立っていかないと思います。

 

本当にこれは悲しい話です。