とある図書館司書見習いのブログ

図書館情報学や図書館のあれこれについて語る。

新和歌山市民図書館の指定管理者制度導入について

http://www.yomiuri.co.jp/local/wakayama/news/20171124-OYTNT50430.html

 

こちらのニュースから。
和歌山市が新しく和歌山市駅に建てる予定の和歌山市民図書館ですが、どうやら指定管理者制度を導入するようですね。(行政が民間の企業に図書館の運営を委託する制度)

その指定管理者として応募してきたのが、TSUTAYAで名の知れるCCCと図書館業界で知らぬ者はいないといっても過言ではないTRC。
一般的にはCCCの方が有名ですね。TRCは僕も図書館業界に身を置きはじめて初めて知りましたからね。(まぁ図書館流通センターというくらいなのでそれはそうなのかもしれません。)

 

このニュースについてこれから私が思ったことを話そうと思うのですが本題へ入る前に

私個人のスタンスとしては公共図書館に(一部の業務を民間に委託することを含め)指定管理者制度といったものには反対です。

 

そもそも民間企業へなぜ公的機関の運営を委託するのかその名目は民間企業が持つ能力の活用による公的機関運営における経費の削減(効率化)と住民サービスの向上と言われております。

あくまで参考として大阪市指定管理者制度に関する説明が簡単でわかりやすいかと↓
http://www.city.osaka.lg.jp/keiyakukanzai/page/0000162085.html

 

話が少し逸れましたが、私が和歌山市に新しく誕生する公共図書館に期待することは
図書館がより多くの住民に利用してもらえるようになることです。

 

駅近に誕生するということで大変便利だと思いますし、CCCにしてもTRCにしてもさまざまな取組とカフェや書店等の併設もするということですので、図書館に興味のなかった若者も取り込むことが期待できるかと思います。

 

地域によっては図書館が辺鄙なところにあるため行きづらかったり周りに何もないので図書館以外に行くところがないと、その近くに住んでいる住民にとっては便利かもしれないですがそれ以外の多くの住民にとっては行くメリットが少なく感じられることも多かったと思います。(今もそういう図書館は存在しますが...というよりたぶんそちらが今も大多数ですよね)

 

老後の余暇や休日等を図書館でゆったり読書をして過ごすという方もおられると思いますが、例えば仕事帰りにだとか、学校帰りに本を読んで帰りたい、あるいは本を借りて帰りたいという方もいると思いますので、より一層そういった方々の利用を増やすことができるのではないかと思います。後、近くに買い物できる場所があれば、買い物のついでにとかショッピングのついでにという形で図書館以外の目的で訪れた人も行きやすいですよね。

 

少し不安なのは今まで利用してた層の人たちが離れていかないか?ということです。カフェや書店併設によって今時の若者向きな図書館に変わることでそれまでに利用していた人たちがこなくなってしまうのは悲しいことです。

そこで働く図書館員さんにはこれまできてた人たちにもまた安心して来てもらえるような取組と新しい利用者層を増やしていく、そして継続して利用してもらえるようにする努力をしていってほしいなと感じています。

 

 

図書館に民間企業が参入することで図書館がこれまでとは全く違ったものになるんじゃないかとか、話題作りや利用者をとりあえず増やすことだけに目がいって、そもそもの基本的な図書館の機能である本の貸出や利用者のレファレンス(簡単に言うと利用者が知りたいこと、疑問などを図書館員が利用者と共にお調べするサービス)がおごそかになるのではないかという不安もあるようですが、どんな民間企業が参入しようとそこで働くのは司書資格(図書館で働くために必要な資格)を持った図書館員であるので心配はないと私は信じたいです。

もし間違った方向に進んでいったらその図書館で雇用される者としてである前に司書資格を持つ一図書館員として必ず批判してほしいですね。

 

 

 

ちなみに図書館にある多くの資料を活用して様々な取組を行うことで読書とはまた異なった情報・知識と利用者のつながりをつくるのも図書館の一つの機能ではあります。読書や貸出意外にも図書館にある資料の活用方法はたくさんありますので。

 

最後に一図書館員として不安なのはそこで働くことになる図書館員の人たちです。こういったニュースは利用する側の目線で語られることが多いですが、実際に働く図書館員のことも議論され考えてくれるようになるとありがたいです。とてもじゃないけど満足に暮らすことのできる給与をいただけてないのが、大半の図書館員の現状だと思います。しかも正規雇用として雇ってくれることも少なく、大半が非正規雇用という不安定な雇用です。

 

各々の事情により非正規で働くことを望む方々をいますが、それ以上に満足のいく暮らしができる、正規で不安なく働くことができることを望む図書館員がいるのも事実です。

 

是非こうした現状にも目を向けてくださるとありがたいです。